2019-02

小説

オンリー・イエスタデイ 22「嘘つき」

 私はAのグループとは距離を保ちながらも、Aのことを常に意識していた。  下校の途中、道端にある駄菓子屋で、私がコーラを飲んでいると、Aのグループが店に入ってきた。だれかがグレープ味のチェリオを買い、Aが「それ、うまいか」と訊ねた。  ...
小説

オンリー・イエスタデイ 21「頽廃」

 小説を読むようになって勉学を忘れたAは、となりのクラスの怪しげな連中と付き合うようになった。メンバーは、毎日遅刻してくる背の低い豆腐店の息子、暴力沙汰で有名な中学の出身で、常に冷笑を浮かべている皮肉屋、北海道から転校してきたフランケンシュ...