2018-04

小説

オンリー・イエスタデイ 2 「下着の中」

 私がAに惹かれたひとつの理由は、彼が異様に絵がうまかったことだと思う。その才能は大人の目を驚かすのにも十分だった。  Aが私の家に遊びに来たとき、私は彼に何か描いてくれと頼んだ。母にAの絵のうまさを自慢したい気持があったからだ。Aはモデ...
小説

オンリー・イエスタデイ 1 「唾」

 Aは私が小説を書くきっかけとなった人物である。Aの何がそんなに私を惹きつけたのか、今となってはわからない。  Aと私が出会ったのは、小学校の入学式の日だった。私たちは同じクラスで、教室に入ると、色白の耳の大きな吊り目の少年が私の気を惹い...