小説 オンリー・イエスタデイ38「上下関係」 Aと私は、ときどき授業を抜け出して、高校の近くを散歩した。体育館で集会があるとき、知らん顔をして学校の外へ出たり、昼休みにフラフラと歩いて、午後の授業がはじまってももどらなかったりした。 我々が好んだのは、陰鬱な曇り空の日で、だれもい... 2019.10.15 小説
小説 オンリー・イエスタデイ37「反抗期」 高校2年の担任は、タルイハジメという数学の教師だった。 色黒で額が禿げ上がり、後頭部が突出したいわゆる後ろデコだった。眼鏡のギョロ目で、やや出っ歯。口調は講談師のようにメリハリがあって、生徒に人気があった。モノマネをする生徒がいたり、... 2019.10.01 小説