2019-10

小説

オンリー・イエスタデイ38「上下関係」

 Aと私は、ときどき授業を抜け出して、高校の近くを散歩した。体育館で集会があるとき、知らん顔をして学校の外へ出たり、昼休みにフラフラと歩いて、午後の授業がはじまってももどらなかったりした。  我々が好んだのは、陰鬱な曇り空の日で、だれもい...
小説

オンリー・イエスタデイ37「反抗期」

 高校2年の担任は、タルイハジメという数学の教師だった。  色黒で額が禿げ上がり、後頭部が突出したいわゆる後ろデコだった。眼鏡のギョロ目で、やや出っ歯。口調は講談師のようにメリハリがあって、生徒に人気があった。モノマネをする生徒がいたり、...