2020-02

小説

オンリー・イエスタデイ46「暗と明」

 高校3年の1学期、私はAとは別のクラスになり、教室で彼の視線を気にする必要もなくなった。そして、2年下のエッちゃんからつき合いOKの返事をもらい、いとも簡単に幸福の頂点に昇り詰めた。  はじめてのデートは、悩んだ末、映画に行くことにした...
小説

オンリー・イエスタデイ45「堕落」

 奇矯なマントを羽織り、模擬試験で名前が張り出され、小説家になるという秘かな志も得て、私は高校2年3学期、自分の可能性に酔っていた。そういうとき、人は自らの危険な兆しに、気がつきにくいのかもしれない。  あとから思えば、その兆候はすでに明...