2020-04

小説

オンリー・イエスタデイ51「無意味」

 大学に合格したあと、私は久しぶりにAに会った。春の夕暮れどき、Aを誘って近所の墓地を散歩したのだ。その墓地は中学校の横の大きな池の傍にあり、周囲をススキに囲まれていた。  Aは世俗的な価値を超越していたので、私の合格を祝福したりはしなか...
小説

オンリー・イエスタデイ50「白旗」

 大学の受験は、高校1年生のときからの志望校に願書を出した。  校内模試では1度も合格圏内に入ったことはなかったが、外部の模試で1回だけ、奇跡的に合格できる成績を取ったことがあった。本番でふたたび奇跡が起きれば、合格も夢ではない。  そ...
小説

オンリー・イエスタデイ49「泥沼」

 いくら現実から目を背けていても、時間を止めることはできない。  受験の日がどんどん近づいてきて、ヴァルガーとかコム・イル・フォーとか、戯言を言ってはいられなくなった。  それでも、私は受験勉強を嫌悪し、まじめに授業を受けている級友たち...