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オンリー・イエスタデイ 5「多動性障害」

 私自身のことも少し書いておこう。  小さいころから私は落ち着きがなく、1年生のとき、授業中におしゃべりをしてよく立たされた。ほかにも2人、よく叱られる子がいて、あるとき私を含む3人が放課後に残された。担任は女の先生で、教卓で採点か何かを...
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オンリー・イエスタデイ 4「Aの涙」

 はじめてAの家に行ったとき(最初に書いた唾を吐かれたとき)、彼は近道をすると言って、路面電車の線路沿いにある倉庫の隙間を通った。線路を隔てる枕木の柵と、倉庫の間に鉄条網が張ってあり、その下のわずかな隙間をくぐることができたのだ。唾を吐かれ...
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オンリー・イエスタデイ 3「才能」

 Aは抜群に絵がうまく、私はそれよりかなり劣ってはいたが、クラスで2番目に絵がうまいとされていた。  小学校2年のとき、「いなばの白うさぎ」の劇をすることになり、クラスを二つに分けてそれぞれに配役が決まった。Aと私は別のグループで、たまた...
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オンリー・イエスタデイ 2 「下着の中」

 私がAに惹かれたひとつの理由は、彼が異様に絵がうまかったことだと思う。その才能は大人の目を驚かすのにも十分だった。  Aが私の家に遊びに来たとき、私は彼に何か描いてくれと頼んだ。母にAの絵のうまさを自慢したい気持があったからだ。Aはモデ...
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オンリー・イエスタデイ 1 「唾」

 Aは私が小説を書くきっかけとなった人物である。Aの何がそんなに私を惹きつけたのか、今となってはわからない。  Aと私が出会ったのは、小学校の入学式の日だった。私たちは同じクラスで、教室に入ると、色白の耳の大きな吊り目の少年が私の気を惹い...